お店の奥のパン棚には歴代のコンテストで授与されたメダルやトロフィーがずらりとならんでいた。
格闘家からパン職人への転身、独立、コンテストへの挑戦。常に新しい道を切り開いていくチャレンジ精神が新しいパンを生み出していくのだろうか。
「若い時から真面目で、向上心は強かった」と、井上シェフは語る。
コンテストへ挑戦し始めたのは、大手ベーカリーに勤めていた20代後半。「入賞までの道のりは決して楽ではなかった。
コンテストの準備のため朝早くから夜遅くまで自分で使える時間をフルに使って練習を重ねた」、「すぐに結果は出なかったが、三度目の挑戦で “カリフォルニアレーズンコンテスト”でグランプリを受賞し、周りの評価や、自分の中でも変化が生まれた」と当時の様子を鮮明に語ってくれた。
「受賞後は、日常生活からも常にアイデアを探すよう意識が変わった。コンテストへの挑戦は、必ず成長に繋がる」自身の経験から井上シェフは、若手の育成に際し、製パンコンクールへチャレンジの支援も行っているそうだ。
また、若手には新商品の考案にも挑戦させていると言う。
「新商品を作るにはアイデアだけでなく、原価計算や、人気のあるパンの情報などをキャッチする力も必要」
日々の生活から生まれるアイデアに加え、ニュースや製菓製パンの特集記事、人気のベーカリーに足を運んでトレンドの情報をキャッチすることもあると言う。
常に新しいアイデアに思考を巡らせ、美味しいパンを創出し続けたいという熱い想いを持った井上シェフと、若手スタッフで案を出し合い毎月魅力的な新商品が生み出されているのだった。
進化し続けるシェフの今後の新作も楽しみである。